私がちょうど小学校の3年生くらいの時でした。
私の実家近く、(今住んでいる所からも至近距離です。)この団地があります。
当時、大規模団地が、庶民の憧れの的でした。
今までの「ちゃぶ台」での食事から、「ダイニングキッチン」での食事に移行していく最初の場面でした。
私の実家近くには、このような郊外型の大規模団地が数多く建設され、当時、天皇陛下も視察に来られるほどのニュースでした。
幼心に、ピカピカに輝く団地を見上げ、そこに暮らす人々に想いを馳せた事を微かに覚えています。
時が経ち、いつしか庶民の憧れだった団地は、老夫婦の暮らす、暗い集合住宅のイメージに変化して行きました。
そして今、いつも、丘の上のこの団地を見上げ、憧憬の想いを抱いた建物は、解体を待つ廃墟となっています。
ひとつひとつの窓に、輝く人生、輝く生活がありました。
子供の遊ぶ声が絶えない空間がありました。
幾世帯の人々が、ここから日本の高度成長期の担い役として毎日家族に見送られ、仕事に向かったのでしょうか。
末期には、その繁栄の名残もありませんでした。
私が通勤で使っているバス停は、この団地の前にあります。
解体を待つ、主のいなくなったこの建物を見ると、胸が締め付けられる想いがします。
やがて、近代的な集合住宅に建て変わるでしょう。
しかし、あの頃の言いようの無い高揚感、期待感は望むべくも無いでしょう。
建物ではないのです。
時代なのです。
唯一残っている団地商店街。
私の女房は、毎日、この商店街で買い物をしています。
次の世代を担う子供たちは、50年後、今の時代をどのように回顧するのでしょうか。
私たちの世代の責任です。
tomoさん
返信削除深いレポートですねぇ。
私がいつも探検している廃墟とは趣が違うようです。
こういう団地は今の世の中増えてきているように思います。
私の故郷である新宿区でも戸山ハイツは建設当時はとても近代的な高層団地として憧れの素でしたが、今では入居者の高齢化が進んでいるとの事です。
お互い「廃墟フェチ」ですので、今度私のブログでもとっておきの廃墟レポートをご紹介しますね。
udazo
こんばんは。
返信削除昨日は、久しぶりに飲めて、楽しい時間を過ごせました。
ありがとうございました。
同様の団地が、私の自宅近くにもあります。
その団地は社宅として利用されており、今でも住まわれている方はいらっしゃるのですが、
10数棟あるうちの幾棟かは、上がり口に柵を作って完全に封鎖してしまっています。
住んでる方はいらっしゃるのですが、往時の賑わいも影を潜め、寂しい&侘しい限りです。
小学校・中学校の同級生が住んでいたので、よく遊びに行っていた事は懐かしい想い出です。
「10年ひと昔」と言う言葉の通り、世の中の流れ・産業の衰勢・ライフスタイルの変化等、あっという間に変化してしまいます。
最寄り駅の駅前風景も、気がつくと大きく変わっていました。
これから先、どのような変化が見られる、もしくは、見せられるのでしょうか。
懐古趣味ではないつもりですが、古きものの中にも良さは色々あったかと思います。
新しいものの中にも色々な良さはあるでしょう。
でも、「古いものを壊し新しいものを築いていく」という事に、言い知れない寂しさを感じるのは、
それだけ年齢を積み重ねてきたから、なのでしょうか?
それとも、単に「懐古趣味」なのでしょうかね。
宇田蔵さん
返信削除今度、一緒に廃墟ツアーに行きましょう。
私、廃墟、廃屋、廃村、大好きです。
TCRさん
返信削除ジロ・デ・イタリアやツールを見ていると、郊外の町のたたずまいに驚かされる事が度々あります。
美しい古い建物が当たり前のように残っています。
残っている、と言うのは、失礼かもしれません。
わざと残しているのではなく、建て替える必要性が無いのでしょう。
建物に対する文化が日本と全く違いますね。
何か寂しいですね。
府中、立川、東大和にいいスポットがあります。
返信削除機会があればご案内しますよ。
しかし、こういう団地を見ていると、ウルトラセブンの大傑作「第四惑星の悪夢」を思い出します。
ガキの頃、あのエピソードは衝撃的でした。。
怪獣番組なのに怪獣が出てこない大好きなエピです。
udazo
宇田蔵さん
返信削除府中、立川、東大和なら、近いですね。
行きたいな~。
「第四惑星の悪夢」残念ながら覚えていません。
今度、ストーリー教えてください。